意見が対立しているときの選択肢を整理!コンフリクト処理モデル

TIPS

仕事を進めていく上で発生する他人との対立。小さいものを含めると日々大量に発生します。

組織内であれば、「このような対応の方が良いのでは」「こういう部分で改善してほしい」といったやりとり、組織外であれば「もっと安く販売して欲しい」「この価格で購入して欲しい」といった交渉は、日常の風景ですね。

それぞれ、役割と目標が異なるため、意見が対立することは珍しいことではありません。

意見が対立しているとき、どうしますか?
自分の意見を貫く?相手に譲る?

いくつかの選択肢がありますね。今回はその選択肢を整理してみましょう。
どのような選択肢があるかをしっかり理解しておくことで、「どうしよう?」と、ただただ困惑してしまう事態を避けられます。

意見が対立しているときの選択肢は5つ

コンフリクト(Conflict)とは、対立・論争・争い・衝突といった意味です。

大小問わず、他人と意見が対立しているときの選択肢は5つです。つまり、5つの中から選ぶしかないということですね。とてもシンプルです。

1 協働

お互いに意見を否定せず、それぞれの役割、目的、大事にしていること、条件、事情を踏まえて、建設的な案を協力的に生み出します。最も理想的な展開ですね。

2 適応

相手の意見を尊重し、相手の主張を受け入れます。「意見を尊重」というと聞こえが良いですが、言い換えると譲歩、服従、屈服ともいえます。自身に不利益が発生するような場合はできれば避けたい選択肢です。けれども、相手との関係を維持することや関係性を深めることを重視する場合には、有意義な選択肢の1つになります。

3 競争

自身の主張を通します。相手の主張を認めず、受け入れません。もしくは、認めて受け入れた上で、何らかの理由で自身の主張を通します。別の言い方をすると、相手に「適応」してもらうというスタンスです。時にはこういった強気な対応が必要な場面もあります。

4 妥協

それぞれの主張を整理した上で、お互いに妥協点を見つける形です。お互いに主張を譲らない状況下で、「落とし所を見つけましょう」というスタイルです。痛み分けです。

5 逃避

そもそも対立に向き合わなかったり、無期限の保留にしたり、決着を避ける形です。関わりを穏便に避けたい場合など、意図的に選択する場合もありますので、必ずしも良くない選択肢というわけではありません。

どの選択肢を選ぶべきなのか

最も良い形は、もちろん「協働」ですが、なかなかそう上手くはいかないのが現実の世界です。ビジネスでは様々な要素が絡みますので、どの選択肢がベストな選択肢なのかは、都度異なってきます。

物事の優先順位の低さから意図的に「逃避」を選ぶパターンもありますし、「前回はあの件を受け入れましたので、今回はこの件を受け入れてください。」といった交渉や駆け引きもあります。(この場合は前回が「適応」、今回が「競争」ですね。)

なお、上司・部下、仕入・販売等の上下関係がある対立においては、上の立場の人は「協働」のつもりでも、下の立場の人は「適応」「競争」と感じている場合があります。もしも「協働」を目指したいのであれば、上下の立場を問わず、お互いに「適応」「競争」のスタンスでないことを示し、「協働」スタンスであることをしっかりと表明する必要があります。

また、衝突を恐れないタイプや意思が強いタイプの人は、意見の対立の際に「競争」を無意識で選択しがちです。穏便なタイプや関係性を重視するタイプの人は「適応」を選びがちです。

加えて、疲れ・ストレスが蓄積している状態の時やネガティブな状態の時は、「逃避」や「競争」を選びやすくなります。

どの選択肢を選ぶべきなのかは、自分自身の性格、傾向、コンディションを考慮して、冷静にスタンスを決めることが大事です。

対立時の思考・行動のフロー

対立が生じた際には、思考の中で以下のようなステップを踏みます。

1 自身(または組織)の目標や目的を確認する
2 理想の状態、最も良くない状態を想定する
3 状況(関わる相手の状況や自分の状況、関係性、環境)を分析、整理する
4 基本スタンスを定める
5 具体的なアプローチの方法を考える
6 実行する
7 上手くいかない場合、フローをさかのぼって再チャレンジ。

「4 基本スタンスを定める」では、どのような選択肢を選んだ場合はどのような行動を取るべきなのかを検討しましょう。また、行動後にどのような結果になりそうかを予測した上で、判断しましょう。

対立時は、自身の選択肢を整理し、行動と結果をシミュレーションすることが大事です。

無意識で行っていることを整理することで、困惑を避けられる

先に紹介した、対立時の5つの選択肢や思考・行動フローは、いずれも普段みんな無意識の中で検討していることです。ですので、もしかするとここまで読んでみて新しい発見がなかったかもしれません。

それでも、わざわざなぜこれらを学ぶ必要があるのかというと、対立という事態に直面した際に、困惑のまま立ち止まってしまうことを避けるためです。

対立時の選択肢は5つ。結局は5つの中から選ぶしかありません。

上司や先輩に相談した時も、選択肢の数は同じです。上司や先輩がどれが良いかを検討し、選択します。

対立の発生時、もしも困惑することがあったら、上司や先輩に「どうしたらいいですか?」と相談する前に、「コンフリクトモデル」「思考・行動フロー」を思い出してみましょう。

例えば、取引先との対立発生時。「どうしたらいいですか?」と、すぐに上司へ相談することはとても良いことです。けれども、「こうしようと思っているんですが、どう思いますか?」という形での相談を心がければ、より自分自身の成長を早めることができます。間違ったとしても、行動前であれば何の問題ありません。上司への相談の時間は、自分の判断が適切かどうかを試すための良いテストです。

繰り返しになりますが、困惑のまま立ち止まってしまいそうになったら、「コンフリクトモデル」「思考・行動フロー」を思い出し、選択肢やステップを見直してみましょう。

対立時の選択肢は5つです。

テストのマークシートは、勘で1つの枠を塗りつぶすにしても、絶対にないだろうなという選択肢は排除し、2択くらいに絞り込みたいですよね。

その絞り込みの作業は、とても大事な作業です。難しい問題でも、1つか2つくらいは正解の候補から外せるかもしれません。ぜひ、チャレンジしてみましょう!